「頑張りたいのにやる気が出ない」
「気づけば仕事中ぼーっとしてしまう」
HSPさんの中には、そんな状態に悩む人が少なくありません。
私自身も仕事中に急にスイッチが切れたようになったり、頭が真っ白になったり、周囲が普通に働いているのに自分だけ動けなくなってしまうような感覚を経験しました。
しかし、それは怠けではなく、HSP特有の心と体の反応です。
今回は、HSPが仕事中に無気力さを感じたり、集中できない状態になる原因と、その対処法についてお話しします。
HSPが仕事中に無気力になりぼーっとする原因は?
HSPが仕事中に無気力になったり、ぼーっとしてしまうのにはいくつかの理由があります。
私自身の経験も交えながら、代表的な原因を3つにまとめてみました。
これ以上の刺激から自分を守るため
休んでという体からのサイン
「どうして自分だけこんなに集中できないんだろう?」と感じている方は、ぜひ照らし合わせて読んでみてください。
エネルギーを使い果たしたから
HSPは人一倍まわりに気を配り、細かい変化にも敏感に反応します。
そのため、他の人なら気にしないような出来事でもエネルギーを消耗し、気づけば「もう集中できない」「頭が働かない」という状態になりやすいのです。
私も朝から上司や同僚の表情に気を使っていたら、昼過ぎにはぐったりしてエネルギー切れを起こしてしまったことがあります。
休憩時間に仮眠を取って少し回復させましたが、こんなことが頻繁にあると疲れてしまいますよね…。
現代社会はただでさえ情報過多になりやすいと言われています。
精神的なストレスや肉体的な疲労は、脳の機能に大きな負担をかけます。特に、現代社会は情報過多であり、常に多くの情報に触れ、複数のタスクを同時にこなすことが求められがちです。このような状況は、脳を過度に活性化させ続け、脳のキャパシティを超えてしまう「脳疲労」を引き起こす可能性があります。
脳疲労が蓄積すると、脳の神経細胞が疲弊し、パフォーマンスが低下します。これにより、集中力が続かなくなったり、新しいことを考えるのが難しくなったりといった「ぼーっとする」状態が生じます。
出典:「頭がぼーっとする・やる気が出ないを解消!原因と簡単セルフケア」あしたのクリニック
HSPさんにとってはなおさら刺激を感じやすい状況なので、とっても疲れやすいんですね…。
これ以上の刺激から自分を守るため
頭がぼーっとしたり、何も考えられなくなるのは、心が「これ以上は刺激が多すぎるよ!」とブレーキをかけているサインでもあります。
感情の麻痺: 強いストレスや心の疲労が続くと、感情が動かなくなるように感じることがあります。嬉しいことも悲しいことも感じられず、心が空っぽになったように感じる状態です。これは、心をこれ以上傷つけないための防衛反応であるとも言えます。
出典:「心がしんどい」と感じたら?原因を知って楽になる方法 オンライン心療内科メンクリ
情報や感情が一度に押し寄せる場面や、ストレスに晒され続けた状態では、無気力になってしまうのは自然な防御反応です。
極端なケースかもしれませんが、以前会社でクレーム対応をした際、サービスを利用されている方からものすごい剣幕で詰められたことがありました。
私は怒鳴り声や大きな音がものすごく苦手なので、対応の途中から頭が真っ白になって、しばらく思考が停止して何も考えられなくなったことを覚えています。

あれは今も若干トラウマですね…
休んでという体からのサイン
「やる気が出ない」「集中できない」と感じるとき、実は体が「少し休んで」とメッセージを送っている場合があります。
休憩を取らずに頑張り続けると、心身が限界を迎え、体調不良につながることもあります。
「あと少し…」と毎日頑張り続けて、ある日体調を崩したことはありませんか?
すぐには不調が出ない方もいるかもしれませんが、無理の積み重ねが次第に自分を壊してしまうことだってあります。
私は以前勤務していた会社でのパワハラに悩んでいたことがありました。
初めて勤める会社だったこともあり、仕事を覚えて頑張っていればきっと改善されると思っていましたが、仕事ができるようになっても環境は変わりませんでした。
むしろ状況はひどくなる一方で、ある日体が動かなくなって出社できなくなってしまいました。
今思うと、体が「もう休んでよ」とSOSを出していたのかもしれません。
皆さんには、こうなる前に早めに働く環境を見直したり、なによりも心身を大切にしてほしい!と強く思います。

復帰に大分時間がかかりました~
周囲からは「やる気がない」と誤解されやすい?
HSPは無気力になってぼーっとしているときに、周囲から「やる気がないのでは?」「怠けているのかな?」と誤解されやすい特徴があります。
自分でもちゃんとしなきゃと思っているのに体がついていかず、余計に自己否定してしまう人も少なくありません。
私も精神的に負担だった仕事を終えて、まだ疲れて頭がうまく働かないなぁと感じている時、同僚に「眠いの~?仕事だるそうだね?」と言われたことがありました。
この状態は眠い訳ではなく、脳の疲労からくる状態だったのですが、周りからは寝不足だったりやる気が無いように見られているのかな…と感じたことを覚えています。
無気力状態は怠けじゃない!HSPの休息のとらえ方
周りから誤解を受けやすいことに加え、仕事中に無気力になって「ぼーっとしてしまった」「集中できない」と感じると、自分が怠けているせいだ…と落ち込みがちですよね。
しかしそれは、心と体が「疲れすぎているから、少し休もう」とサインを出している証拠です。
むしろ休息をポジティブに受け止めることが、長く働くうえでのポイントになります。
ここではHSP向けに、無気力状態になった自分を理解してどう向き合うか、カギとなる考え方を解説します。
無気力は脳と心の防御反応だと理解する
無気力な状態は、脳がオーバーヒートしないための安全装置のようなものです。
心理学や神経科学でも、過剰なストレスがかかると脳は処理を減速させて、自分を守ろうとすると言われています。
脳神経学者の青砥瑞人さんは、強すぎるストレスの影響について以下のように語っています。
ストレスを科学的に見れば、それは成長のための要素になったり、集中力を高めたり、学習力を向上させたりする効果があります。
ただし、過剰なストレスがかかると、脳の前部分が機能をストップしてしまい、フリーズしたような状態になってしまいます。
出典:『ストレスで脳がフリーズする? 脳神経学者・青砥瑞人さんが説く「ストレスを味方にする」子どもの成長サポート術』 HugKum
つまり怠けているのではなく、これ以上無理をすると危険だよ!という防御反応が起きているのです。
適度なストレスは成長のためにも必要ですが、あまりにも大きな負荷は体にとってもマイナスの影響が出てしまうのですね。
休息をポジティブにとらえる
無気力を怠けていると感じると自己否定につながりますが、視点を変えれば「充電のための時間」と考えることもできますよね。
短い休息を意識的に取ることで、結果的に集中力が戻り、やる気も回復しやすくなります。
HSPにとって休むことはサボることではなく、むしろ力を保つための大切な戦略だと捉えています。
私はよく昼の休憩中に仮眠を取って、頭をスッキリさせてから午後の仕事に臨んでいます。
昼休憩中も姿勢を正してやる気を保とうとするより、一旦体の力を抜き、目を閉じて静かに深呼吸したほうが、午後の仕事の生産性もアップしますよ!
無気力状態や休むことに罪悪感があるHSPさんへ
休むことは怠けることではなく、HSPにとってエネルギーの循環を生む大切な工夫であることを解説しました。
それでも休むことへの抵抗がある方は、「自分はスマホと一緒」と考えてみてください。
みなさんは翌日電池切れを起こさないように、スマホを帰宅後や寝る前に充電しますよね。
人間も同じで、しっかり休んで回復させないと、次の日十分に仕事ができません。
充電しないスマホはバッテリーが減っていき、省エネモードに切り替わります。
省エネ状態だと普段と同じ性能が発揮できなかったり、機能が制限されたりします。
その後も充電不足が続くと、そのうちバッテリーが0になります。
完全に電池切れを起こしたスマホは、中のバッテリーそのものが劣化してしまいます。
人間の体もゼロの状態になってからだと回復に長い時間がかかってしまうので、普段からこまめに充電時間を設けたり、感情を整理してジャンククリーニングすることを意識しましょう。
HSPが仕事中に無気力を感じたときの具体的な対処法
次は、HSPが仕事中に無気力を感じたときに実践しやすい以下の対処法を紹介します。
- 小休憩で脳をリセット
- 刺激を減らして集中しやすい環境をつくる
- タスクを細かく分ける
ほんの一工夫で、集中力ややる気を取り戻すきっかけになると思います。
小休憩で脳をリセットする
HSPは人一倍エネルギーを消耗しやすいため、集中して作業したあとには思った以上に疲れが溜まっています。
無気力を感じたときは、まず数分でも小休憩を取ってみましょう。
- 背筋を伸ばして深呼吸を3回
- 一度肩に力を入れてからストンと落とす
- デスクから少し離れてストレッチする
- 目を閉じて静かに座る
- 甘いものを一口食べる
こうした短い休息や簡単な動きだけでも、脳の処理がリセットされ、再び集中しやすくなります。
私自身も「もう頭が働かないや…」と感じたとき、お茶を入れに席を立ったり、そのついでに深呼吸・軽いストレッチなどをしています。
ほんの1~2分でも、意外と気持ちが切り替わりちょっとスッキリした気分になりますよ。
また、マインドフルネス瞑想も脳の疲れを取るのには効果的とされています。
マインドフルネスは、ストレスに対処するための強力なツールです。日常的に抱えるプレッシャーや、急な仕事の増加により生じるストレスは、健康に悪影響を及ぼすことがあります。マインドフルネスを実践することで、自分の感情に気づき、過剰に反応することなくそれを受け入れることができるようになります。
出典:忙しい人必見!冷静さと集中力を高めるマインドフルネスの仕事術 パフォーマンスナビ
無気力を力ずくで乗り越えようとするよりも、一度リセットするほうが効率的です。
短い休憩は、私にとって次の集中を生み出すための大事なリズムになっています。
刺激を減らして集中しやすい環境をつくる
HSPは周囲の音や光、人の気配など、ちょっとした刺激にも敏感に反応しやすい特性があります。
そのため、仕事中に「集中できない」「やる気が出ない」と感じる背景には、環境からの刺激が影響していることも少なくありません。
無気力を感じたときは、できる範囲で周囲の刺激を減らしてみましょう。
- ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓で音を和らげる
- 席の位置を変えて、なるべく人通りの少ない場所に移動する
- 強い蛍光灯が苦手なら、デスクライトで調整する
といった工夫でも、かなり気持ちが落ち着きます。
私の場合は、オフィスでの人の動きが激しくて頭が疲れてしまうとき、フチが太めのメガネをかけるようにしています。
こうすることで視界の横側から入る刺激が減り、消耗を少なくして仕事に臨めることが多いです。
HSPさんの場合は特に、無気力だから頑張れないのではなく「刺激が多すぎて頑張れない・集中できない」というケースもあります。
自分にとって安心できる環境を整えることが、HSPにとっては大切な集中の土台になります。
タスクを細かく分けて一歩ずつ進める
無気力だったりやる気が出ないと感じるとき、大きなタスクを前にして圧倒されている可能性があります。
特にHSPは先のことまで想像力が働きやすいため、「全部終わらせなきゃ…」と考えるだけで心が疲れてしまうのです。
そんなときは、タスクをできるだけ細かく分けてみましょう。
例えば「資料を作る」という仕事も
- 過去の資料を確認する
- 必要なデータを集める
- 下書きを作る
- 仕上げる
と小さなステップに分けることで、気持ちのハードルが下がります。
私自身も、以前「報告書を一気に仕上げないと!」と思い焦ってしまい、なかなか手をつけられずにいたことがありました。
しかし「今日は見出しだけ決める」「明日はグラフだけ作ろう」と小さく区切るようにしたら、不思議と無気力感が薄れて、スムーズに進められるようになりました。
HSPにとっては完璧に仕上げるよりも小さな一歩を重ねることのほうが、心の負担を減らし、やる気を取り戻す近道になります。
タスクマネジメントの方法について詳しく解説した記事もありますので、併せて読んでみてくださいね。
ミニ習慣で心と脳をリフレッシュ
無気力を感じると何もできない自分に落ち込みがちですが、そんなときこそちょっとした習慣が助けになります。
ここでいうミニ習慣とは、休むことよりも 「気持ちや思考を整える行動」 のことです。

仕事中&仕事以外にできるミニ習慣を紹介します。
- デスク横に観葉植物やお気に入りの小物を置いて、視線を移す
- メモ帳に「今の気持ち」を一言書いて整理する
- タイマーをセットして「ここまでやったら一度区切る」と決める
- 感謝したいこと・うまくできたことを一つ思い出す
ほかには、やる気が出ないときに「今日はここまでやったらオッケー!」と付箋に書いて貼るようにしていました。
すると、全部完璧にやらなくていいんだ!と思えて気持ちが軽くなり、自然と手を動かせるようになったんです。
今日の仕事で一番頑張ることを1つだけ決めて、それができたら花マルをあげるイメージで仕事をすると、かなり心が軽くなりました。
帰宅後や休日は、下記のような習慣を設けるようにしていました。
- アロマやお香を焚いて香りでリラックスする
- 好きな音楽のプレイリストを作っておき、BGMとして流す
- 日記やノートに今の気持ちを2〜3行書く
- 朝と夜にマインドフルネスの時間を設ける
大きなことをしようとするとまたエネルギーを使うので、小さな習慣で切り替えることがポイントです。
少しのリフレッシュや気持ちの棚卸しをすることで、無気力を長引かせずに次の行動へつなげやすくなりますよ。
信頼できる人に気持ちを話してみる
無気力を感じると「自分だけが弱いのでは?」と孤独になりやすいですが、誰かに気持ちを共有するだけで心が軽くなることがあります。
特にHSPは感情を内に溜め込みやすいため、安心できる人に打ち明けることが大切です。
信頼できる相手は、必ずしも家族や上司でなくても構いません。
友人や同僚、あるいはオンラインコミュニティなど、「この人ならしっかり聞いてくれそう!」と感じられる人を選びましょう。
私自身、以前は無気力になると「弱音を吐いてはいけない」と一人で抱え込んでいました。
その時たまたま同僚とゆっくり話せるタイミングがあり、「なんでか分からないけど、最近ちょっと疲れて集中できないんだよね…」と話したら、「私もそういうときあるよ」「自分の場合はこうしたらちょっとマシになったよ」と共感や助言をもらえ、思いがけず安心できた経験があります。
話すことで状況がすぐに改善するわけではありませんが、心の荷物が少し軽くなるだけでも前向きなエネルギーが戻りやすくなります。
HSPにとって気持ちを言える居場所を持つことは、無気力に振り回されないための大切な支えになると感じます。
もし「身近に相談できる人がいない」「安心して本音を話せる相手が見つからない」と感じる場合は、専門のカウンセラーに話を聞いてもらうという選択肢もあります。
対面でなくオンラインで気軽に利用できるカウンセリングサービスもあり、誰にも言えなかった気持ちを打ち明けられる環境があると安心できますね。
不安なく話せる場を持つことが、仕事の無気力から抜け出す第一歩になるかもしれません。
環境や働き方を見直す勇気を持つ
HSPが無気力になってしまう背景には、仕事そのものが合わないだけでなく、職場の環境や働き方のスタイルが合っていない というケースもあります。
- 静かな時間がなく、常に周囲の雑音に囲まれている
- チームワーク重視で一人の時間を確保しづらい
- 勤務時間や休憩の融通がまったくきかない
- リモートや在宅勤務の選択肢がなく、通勤で消耗している
こうした状況が続くと、エネルギーを使い果たして「もう頑張れない…」と感じるのも当然のことです。
まずは上司や同僚に相談し、働き方の調整(在宅勤務・時差出勤・業務の分担など) を検討してみましょう。
それでも改善が難しい場合は、自分に合う環境を探す選択肢を持つことも大切です。
近年は、柔軟な働き方をサポートしてくれる転職サービスもあり、HSPにとって無理のない職場環境を提案してもらえる場合もあります。
私自身も「この職場での働き方は合っていないのかな…?」と気づいたとき、勇気を出して相談してみた経験があります。
よく転職はリスキーだという声も聞きますが、転職のための「活動」自体にリスクはありません。
どんな会社があるのかエージェントや求人サイトを使って調べてみるだけでも、少し心に余裕ができたりします。
無料で利用できるサービスを活用すれば、金銭的にもノーリスクで自分に合う環境探しができますよ。
無気力を責めず自分に合う働き方を見つけよう
仕事中に無気力になったり、ぼーっとしてしまうのは、HSPにとって怠けではなく、心と脳を守る自然な反応です。
大切なのは、
という3つの視点を持つことです。
今の職場で改善できることがあれば試してみて、それでも苦しいと感じるなら環境を変える選択肢を持っても全然大丈夫です!
無気力を「弱さ」と捉えるのではなく、もっと自分に合った働き方を探すサインとして受け止めましょう。
小さな積み重ねからはじめてみると、仕事との向き合い方も少しずつ変わっていくと思います。
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