- HSPなのに怒りがおさまらない…私っておかしい?
- 怒ってしまうことに自己嫌悪してしまう
- 自分の怒りをうまく処理できなくて困っている
なかなかおさまらない怒りに振り回されて、罪悪感や悩みを抱えていませんか?
意外かもしれませんが、HSPでも怒りを感じることは当たり前で、全然悪いことではないんです。
この記事では、おさまらない怒りから自分を責めてしまったり、怒りへの対処法を知りたいHSPさん向けに、イライラを成長に変える感情のセルフコントロール術をご紹介します。
記事を読むことで、怒りの感情が悪ではない理由や、自分の気持ちと上手に付き合うための方法が理解できます。
HSPなのに怒りを感じるのは変なの?
HSP=怒らない人というイメージを持っている方は多いかもしれません。
確かに穏やかな印象を持たれているかもしれませんが、HSPが怒らない人というのは誤解です。
イルセ・サン氏は、著書の中でHSPの怒りに関してこのように述べています。
怒りは強烈なエネルギーです。HSPの人が怒ってレッド・ゾーンに入ると、すぐに白黒つけようとして、ほかの人の立場に立って考える能力を一時的に失ってしまいます。
(中略)
実際、多くのHSPは怒りが絶頂に達したとき、その怒りを露わにした結果、いい目に遭ったためしがなく、自分自身の怒りに大いに振り回されてきたことでしょう。出典:鈍感な世界に生きる敏感な人たち(イルセ・サン著)
また、怒りを感じること自体は人間にとって自然なことで、無くすことは不可能とされています。
怒りの感情は誰にでも自然に起きるものであり、生き物に原始的に備わっているもの。その感情はなくすことができないので、うまくコントロールしていくことが大切だといえます。
出典:『「怒り」は世界を変える力になる!?~アンガーマネジメント~』一般社団法人日本予防医学協会
優しそう、何を言っても許してくれそうといったイメージが先行しているせいか、HSPは怒らない人だという印象を持たれがちです。

心ではちゃんと怒りを感じています。
HSP気質を持つ私自身、怒りを表に出すのは苦手ですが、
- 明らかに上から目線で見下すように話をされたとき
- 約束を繰り返し何度も破られたとき
- 他人への配慮が全く無い自分勝手な人に対して
といったケースは特に、内心イラッと来たり、怒りを感じることがあります。
「怒ったとこ1回もみたとこない」
「大抵のことは笑って許してくれるよね」
「えっ、怒ってないと思ってた!」
と周りから言われることがありますが、見た目で判断しにくいだけで、怒りを感じていない訳ではないんです。
SNSで見つけたHSPさんの怒りに関する声
他のHSPさんの、怒りについての声も調べてみました。
HSPの人って「やさしい人」ってイメージを持たれやすいと思うんだけど、結構「怒」もあったりする。
繊細ゆえにいろんなことに気がつき過ぎて怒っちゃうの。「なんであの人はこうしないの!?」っていう怒りは「なんで思いやりを持てないの!?」っていう怒りだったりする。
— ぽてこ (@msaulait) April 24, 2025
✂️はべつにこわいにんげんちゃうねん。ただおこるとてがつけられんというだけで。ま、そこがね、HSPたる所以らしい。病的に怒りっぽいにんげんなのです。だから怒らないようにがんばってます。ほんとうに。ちちがおこるとしをかんじるれべるでやばいのでそういうことです。(昔壁に穴開けとる)
— はさみ (@mgmttttontonton) June 5, 2025
hspの人って優しいってよく聞くけど、わたしは優しくないから違うのかも…常にちょっとキレてる。心は全く笑ってない。は?って思ってる。
— ふゆ * HSP 𓅿𓈒 𓂂𓏸 (@ma__m13c) October 18, 2023
これこれこれこれ!!疲れる争いとか面倒臭いしぶっちゃけ優しくしといた方が丸く収まるから優しくしてることの方が多いし心の奥底ではナメんなよとかチキショーめとか思いながらキレ散らかしてる🫠人間だからHSPだって怒る時は怒るのだ‼️#HSPあるある https://t.co/VRFZS9ncx0
— HSPあるある (@HSP33966126) October 18, 2023
優しいと思われがちですが、表に出てこないだけで、内面は怒りの炎を燃やしているんですね。
周囲をよく見ているからこそ、思いやりを持てない人に対して怒りを感じてしまうこともあるようです。
怒りがおさまらない自分を責めなくてもいい理由
HSPが怒りを感じることは異常なことではないと分かりましたが、一方で
「絶対怒らないほうがいいよね…」
「怒りがおさまらない私って最悪だなぁ」
と感じて自分を責めてしまう方がいます。
確かに人前でなりふり構わず怒っていると、人としての信用を失ったり、周りの誰かを傷つけてしまうかもしれません。
怒りは悪い側面にフォーカスされやすいですが、自分を守るために必要な感情だと言われています。
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤 俊介先生は、怒りの感情は人間に備わった「防衛感情」だと述べています。
怒りは別名「防衛感情」とも呼ばれています。防衛する、つまり自分を守るために存在する感情なのです。
具体的には「自分が大切にしているもの=価値観、立場、仲間、家族、仕事、プライド、考え方」等です。人は、怒ることでそれらの大切なものが失われないよう、侵害されないよう守っているのです。出典:『《アンガーマネジメント基本編》怒りに任せたふるまいに後悔…医師が知っておきたい「アンガーマネジメント」』コスモス薬品のクリニック開業支援
確かに、自分の立場がおびやかされそうなとき、友達、家族が危険にさらされそうなときに、のんびりしていると大事なものは守れませんよね…。
HSPだとしても、怒りを感じるのは人間が自分を守るための正常な反応で、不自然なことではありません。
また、カウンセラーの大門昌代さんによると、怒りを抑え込もうとするのは逆効果であることが言及されています。
私たちが生きている限り、感じるであろう感情。その種類は様々ありますが、その中でも怒りという感情は、抑え込んでしまいたくなるものでもありますし、何とかコントロールしようとしてしまう感情の代表格かもしれません。
しかし、怒りという感情は、抑え込んで飲み込んでしまうと、やがて自分自身をも傷つけてしまう結果になってしまうやっかいな感情なのです。
出典:「怒りという感情(1)~小さな怒りの対処法~」すぐに役立つ!心理学講座
おさまらない怒りを感じても、無理に消そうとしたり、自分を責める必要はありません。
怒りを感じる自分を受け入れることが第一歩
でも、怒りって攻撃的なイメージがあって好きになれない。
心が繊細で優しい方ほど、こう思ってしまいますよね。
日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さんは、怒りは他の感情と変わりないこと、怒りを悪と捉えると、かえって扱いが困難になることについてコメントしています。
怒りは、私たち人間にとって自然な感情です。怒ることは「悪い」「よくない」「みっともない」とネガティブなイメージを持つ人が多いのですが、そもそも「うれしい」「楽しい」「悲しい」といった感情と変わりはありません。怒ることが悪い、怒りを感じたらダメだということは、まったくありませんよ。
出典:「怒りのエネルギーに振り回されないために 怒りの扱い方大全」日経BOOKPLUS
「怒ることはみっともない」という家庭のしつけを受けてきた人もいれば、怒りまかせに口走ってしまった言葉が原因で、人間関係をダメにしてしまった失敗やその罪悪感から、「怒ってはいけない」「怒りは悪」といった意識を持っている人もいます。けれど、そういった意識があると、怒りはますます扱いが難しくなってしまいます。
出典:「え、なんでそんなにご立腹!?怒りに振り回されやすい人の特徴」リクナビNEXTジャーナル
怒りを感じる自分を否定するのではなく、受け入れることで怒りと上手く付き合えるようになるんですね。
また、私は「怒り」が必ずしも攻撃的なものではないと考えていて、
という分け方をしています。
怒りを感じても、「怒る」=相手へ攻撃する手段を取るかどうかは、自分に選択の余地があるように思います。
医学博士の佐藤洋平先生のお話によると、怒りの感情が必ずしも攻撃的な意味を持つものではないことが述べられています。
怒りと攻撃は似ているようで同じではない。なぜなら、怒りは攻撃以外にも様々な行動を引き起こすからだ。例えば怒りを感じてもグッと我慢することがあるかもしれないし、問題を解決すべく相手と交渉したり、誰かに相談したりするということもあるかもしれない。
出典:「怒りの脳科学:怒りの仕組みとその付き合い方」Lab BRAINS

怒りが問題解決のエネルギーになることもあるんですね。
さきほど、怒りの中には自分が大切にしたい価値観が隠れているよ!という説明をしたように、
という怒りに隠れた本当の気持ちを探すための大切な手がかりになるんです。
HSPが怒りを感じやすい4つの理由
次は、HSPが怒りを感じやすい理由について考えてみます。
- 他者の感情に敏感に反応するから
- 我慢が蓄積して怒りが爆発してしまう
- 反すう思考が癖になっている
- 自分や相手に対する期待度が高い
これらの4つの理由を1つずつ解説していきます。
他者の感情に敏感に反応するから
エレイン・N・アーロン博士が挙げるHSPの主な特性である「DOES」の中に、
という項目があります。
- 相手の話を聞いていたら自分も泣いてしまった
- あたかもその場で体験したように気持ちを想像していた
- 友達から聞いたバイト先の嫌な先輩の話で、自分まで腹が立ってきた
HSPのあなたにもこんな経験があるかもしれません。
感情に対する感度が高いからこそ、人より喜びも怒りも感じやすいという特徴があるんですね。
HSPは他人の感情に大きく影響を受けたり、まるで自分が感じたかのような気持ちになったりすることがあり、喜びにも、悲しみや怒りなどの感情にも影響されます。
HSPはほかの人よりも、人の感情にーポジティブなものも、ネガティブなものもー影響されやすいのです。
出典:鈍感な世界に生きる敏感な人たち(イルセ・サン著)
HSP傾向のない人と比べて、怒りを感じたときに強く反応してしまう一因となっていることが考えられます。
我慢が蓄積して怒りが爆発してしまう
普段自分のことは後回しで我慢しがちなHSPさんほど、我慢の限界を迎えた時に大爆発してしまいます。
普段は穏便に済ませられることも、怒りのちりが積もっていくと、いずれは我慢ができなくなり、抑えていた心のフタが吹っ飛びます。
B. ずっと我慢して溜め込む人
反射的に返すよりも、じっくり考えてから発言するHSPの特徴を考えると、HSPさんには「ずっと我慢して溜め込む人」の方が多いと思います。
普段から小さな不満を我慢していると、それが小さな怒りとなって蓄積されていきます。
不満を我慢して、我慢して、それでもまだ我慢して……、ついに限界が来たときにぶちまけるので、「怒りの感情」として、一気に相手へ飛んでいきます。溜めに溜めた不満ですから、そのときの不満だけでなく、過去のうっぷんも一気に出てきます。
出典:「不満を我慢すると「怒りの感情」になる…心理コンサルが”言わないで我慢”は絶対NGという理由」PRESIDENT Online
精神科医のPoche(ポッシュ)先生は、怒りについて以下のように述べています。
あなたの我慢が足りないから、怒りが爆発したわけでもなければ、あなたが怒りっぽいわけでもありません。急激に爆発するような怒りは、過去から今に至るまでの蓄積です。
出典:【まんが】怒りっぽい自分がイヤ…実は「我慢強い人」なのかもしれない納得の理由と、逆説的な解決策<心理カウンセラーが教える>DIAMOND online
1つの出来事で怒りが爆発しているのではなく、これまでの不満が一気に溢れ出して怒ってしまうんです。
息抜きが上手にできれば爆発せずに済むかもしれませんが、根が真面目なHSPさんだと、適度なガス抜きが難しい場合もあります。
詳しくは後述しますが、怒りの感情を整理するための方法もこの記事でお伝えしますね。
反すう思考が癖になっている
HSPが陥りやすい傾向として、反すう思考(ぐるぐる思考)が挙げられます。
HSPの尺度が高いほど、ネガティブな出来事から気持ちを切り替えるのが難しいことが分かっています。
SPS の高い人はネガティブな刺激を受けた際に,生じてくるネガティブな思考から注意を切り替えて他のことを考えることが難しいと考えられる。
出典:HSP の特性不安,抑うつ,ストレスにおけるマインドフルネスの効果の検討
―感情制御と注意制御からみた調整効果の検討―(花岡麻衣・平川 真・増田成美・上岸光太・上手由香)
さらに、心理カウンセラーの佐藤彩香さんによると、人間の頭はその時解決できなかった事柄をしっかり覚えていて、後で思い出すように働きかけるそうです。
私たちの心は、自分を守るためにその場では怒りを抑えることもありますが、処理しきれなかった思いや感情は、あとから何度も浮かび上がってくるのです。
出典:『「思い出し怒りが止まらない…」その心理と対処法とは?上手な向き合い方を徹底解説』名古屋のメンズ脱毛・ヒゲ脱毛なら男性脱毛のOscar【オスカー】
まだ解決してないことがあるよ!思い出して~!
というリマインド機能が勝手に働くんですね。
後になって怒りが湧いてくる心理的な要因には、「抑圧」という心の仕組みが関係しています。
あとから怒りがわいてくる人は、本来怒りを感じるような場面で、怒りを感じないように自分で自分の感情を抑え込んでいることが多いです。
感情を抑え込むことを心理学用語で「抑圧」といいます。
怒りを抑圧することが癖になっている人は、自分が怒りを抑圧していることに気づいていないことも多いです。出典:「あとから怒りがわいてくる人の心理」一般社団法人日本リトリーブサイコセラピー協会
無意識のうちに怒りを抑えているので、その場では怒っていることに気づかないケースがあるんですね。
後になって、その場で怒りを処理しなかった反動から怒りが沸き起こるのだそうです。
HSPさんは普段から無意識に怒りを抑えてしまっている方も多いかもしれませんね。
その時の出来事や、消化しきれていない気持ちが繰り返し思い出されることで、何度も怒りを感じやすくなってしまいます。

怒りがなかなかおさまらない原因はここにあったんですね。
自分や相手に対する期待度が高い
- 普段から礼儀正しくあるべき
- 周囲に配慮し、気遣いや親切を心がけるべき
- 他人に迷惑をかけないよう気をつけないといけない
このように日頃から自分を厳しく律している、自分に求める基準が高い方は、実は無意識の内に、相手にも同じことを求めているケースがあります。
他の人が自分の価値基準からそれる行動をすると、不満や苛立ちを感じ、それが怒りに変わっていきます。
- 相手の気持ちを考えられない行動って最悪…
- 約束って普通守るのが当たり前でしょ?
- 自分はいつも我慢しているのに、この人はなんて身勝手なことを!
自分が大事にしているルールは誰にでもあるものです。
ですが、自分に厳しく、「こうあるべき」「こうありたい」といった理想が高いHSPさんには、許容範囲が狭くなりがちです。
東京大学の宇佐美洋先生の研究では、人間は自分の価値基準で物事や他人を評価している旨が述べられています。
ひとはだれでも,日常生活の中で,他者や自己の言語運用に対し,独自の価値観に基づく評価を行いながら生きている。その価値観は人生におけるさまざまな経験によって形成され,また変化していくものである。
出典:「言語運用に対する個人の評価価値観の形成とその変容に関する研究」KAKEN
自分への期待が高いほど、相手に対する「こうあるべき」基準も高くなり、期待が外れたときに怒りを感じやすくなります。
- 困っている人には手を差し伸べたい
- 他人の気持ちを思いやれる人でありたい
- 些細なことにも気付けるHSPの感性を大事にしたい
こういった思いは優しさに溢れていますが、気づかないうちに同じ価値観のレンズで相手を見ていることもあるんです。
また自分に対する期待度が高い人は、期待をクリアできない自分自身に怒りを覚えることもあります。
もともと高すぎる期待値を緩めてあげることが、自分や他人への怒りを和らげるポイントなんですね。
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