「感受性が強く、刺激に敏感なHSPの私でも、ピアノって向いてるのかな?」
「ピアノを始めてみたいけど、続けられるか不安だし、練習がストレスにならないか心配…」
HSPは音や刺激に敏感で、感受性も豊かなため、趣味選びにも悩みがち。
今回は、クラシックピアノ歴20年以上のHSPの私が、HSPとピアノの相性について実体験をもとにお伝えします。
…が、実はいくつか注意してほしい点もあるんです。
この記事では、HSPにピアノをおすすめしたい理由やメリット・注意点を、私の体験を交えながらわかりやすく解説します。
ピアノにちょっと興味がある方や、趣味に迷っているHSPさんの参考になれば嬉しいです。
ピアノ歴20年超のHSP筆者がピアノをおすすめする4つのメリット
HSPさんは、刺激に弱かったり、一人で落ち着いて取り組める趣味を好む傾向にあります。
そんな特性を踏まえ、ピアノという趣味が与えるメリットを4つ紹介しながら、おすすめできる理由をまとめてみました。
- ピアノに集中して悩みから離れる時間ができる
- ピアノが自己表現の手段になる
- 自分と向き合う一人の時間が持てる
- ピアノの綺麗な音色でリラックスできる
ピアノに集中して悩みから離れる時間ができる
ピアノは両手と足だけでなく、楽譜を追うのに目も使ったりと、体の様々な部位を働かせて弾きます。
何もしていない状態では、あれこれ悩みを思い出しますが、弾いている間はそんな余裕がないくらい頭が集中モードに切り替わります。
弾いている間は、楽譜を確認しながら、右手と左手、ペダルの切り替え(時には両足を使います)を行います。
テンポが変わらないように気をつけたり、細かい強弱の表現に注意を向けたりもしているので、優雅に見えて実はやることがいっぱいです。
そしてピアノ演奏に集中することで、「フロー状態」「ゾーンに入る」といった、時間も忘れて無心で没頭している状態になっていることがあります。
特にピアノは、一度に多彩な音を鳴らし、両手を使い、楽譜やコード進行を同時に処理するなど、脳を総合的に使う楽器です。演奏している間は日常の雑念から離れ、集中状態(フロー)に入り込みやすく、自己表現や感情解放という面でも大きな可能性を秘めています。
出典:SynthesaFan
1. ストレス軽減: ピアノ演奏は、ストレスを軽減するための有効な方法とされています。
演奏中に集中することで、マインドフルネス状態に入り、外部のストレス要因から思考を解放することができます。出典:平田ピアノ教室
私は、悩みで頭の中がモヤモヤする時こそ、一人でピアノを弾くようにしています。
一旦問題から距離をおき、気持ちを落ち着けることができるため、反すう思考(ぐるぐる思考)が止まらないHSPさんにこそおすすめしたい趣味なんです。
ピアノが自己表現の手段になる
感情をありのままオープンに表現するのが苦手なHSPにとって、自分の気持ちを音に乗せられるピアノは、自己表現の良い手段になります。
溜め込むことが多い日常の中で、周りを気にせず(ヘッドホンをしています)思いっきりピアノが弾ける時間に私は救われています。
心に浮かんだ情景を思い描くのが得意な方は、
「ここはキラキラした海が広がっているのかな?」
「左手の音符は鐘の音を表現しているのかも」
なんて想像しながら弾くことで、曲に深みが出たりもしますよ。
私は、作曲家の生まれた国や育った背景も調べながら、曲のイメージを膨らませていました。
頭の中で思い描いた情景に合う音が出せた時は、満たされたような気持ちになりますね。
また、悲しい気持ちになったときは、その時の気分に合った曲を弾くことで、気持ちが穏やかになったり、スッキリした気分になったりもしました。
言葉で感情をうまく表現するのが苦手な私にとっては、自分の感情を曲に乗せられるピアノが自己表現の手段になっています。
自分と向き合う一人の時間が持てる
人との関わりで疲弊しやすいHSPさんにとって、一人の時間はなくてはならないもの。
一人でじっくりピアノと向き合う時間を持つことで、ざわついた心が静かになります。
特に現代は、スマホからの動画やニュース、テレビなど、常に情報に晒され続ける時間が増えています。
騒がしさから距離を置き、自分とピアノだけの時間の中で過ごすことで、気持ちも次第に安定していきます。
慣れない人と会った後や、緊張が抜けないときなどは、よく自分の家や学校のピアノ練習室で一人でピアノを弾く時間を作っていました。
ピアノを弾くときは余計な力を抜くことが大事なので、緊張や不安でガチガチになった体を意識的に緩めることができますよ。
ピアノの綺麗な音色でリラックスできる
綺麗なピアノの音を聴くことは、気分を穏やかにしてリラックスさせる効果があります。
ピアノの鍵盤楽器は豊かな音色を持ち、その音の振動は聴く人の感覚に直接作用します。
この音の振動が体や心に対してリラックス効果をもたらすことがあり、心地よさを感じることができます。出典:平田ピアノ教室
ピアノは、わずかな指のタッチの差で音色が大きく変わる楽器です。
同じ大きさの音でも、硬い音色、柔らかな音色の差は、指の使い方やペダルなどで表現しています。
繊細さを活かして音の違いを聞き分けられるHSPさんは、ピアノの豊かな音色をより楽しめると思います。
私は師事しているクラシックピアノの先生から
と言ってもらえたことが嬉しく、今も強く記憶に残っています。
また、同じ曲でも、ピアニストによって音色や弾き方が大きく異なります。
この人の弾き方素敵だな~と感じる演奏家を探して、音色を真似してみるのも面白いですね。

特にジャズは人によって弾き方やアレンジが全然違うので、聴き比べるのがすごく楽しいですよ!
HSPがピアノを弾く際の注意点
ここからは、HSPがピアノを弾き始めるにあたり、陥りやすい罠や、注意したいポイントを5つお伝えします。
これさえ押さえれば、無理なくピアノ時間を楽しめますよ。
- 自分の気持ちに合った曲を選ぶ
- 今は弾けない曲があっても落ち込まない
- 完璧を目指さない
- 趣味を義務にしない
- 無理に人前で弾こうとしない
自分の気持ちに合った曲を選ぶ
アップテンポ過ぎたり、音が大きく激しすぎる曲は、そこまで自分の気持ちを持っていくのにエネルギーを使います。
激しい感情をのせないといけない曲は、心穏やかでいたいHSPさんには向かない場合も。
上の動画の曲を練習したときは、私自身、気持ちがついていけなかったり、弾いている最中や弾き終えた後、しばらく気持ちがピリピリしていた経験があります。
有名・人気だからという理由だけで選ぶと、実は自分に向いていなかったということも。
運指が忙しすぎたり、高音がキラキラ・キンキンしすぎる曲も、弾いている間に疲れてしまうので、若干の苦手意識がありますね。(曲はどちらもすごく好きです!)
1曲聴くだけならともかく、練習となると何回も頻繁に聴くことになるため、長時間弾いても大丈夫な曲を選ぶことをおすすめします。
選曲ミスを防ぐため、YouTubeなどで1曲最後まで聴いてみて、自分が好き・ずっと聴いても疲れないと思える曲か考えてから決めましょう。
HSP気質を持つ方であれば、下の動画のような、穏やかでゆったりした曲が合うかと思います。
今は弾けない曲があっても落ち込まない
ピアノは、子供の頃から始めても習得に時間がかかります。
私は、幼稚園からエレクトーンとピアノのグループレッスン、小学生の頃からクラシックピアノの個人レッスンを始めましたが、ショパンの有名な曲など、自分が弾きたいと思う曲をまともに弾けるようになったのは、中学〜高校生くらいでした。
特に社会人の場合は、十分な練習時間を確保することが難しい場合もありますので、すぐに曲が弾けなくても落ち込んだりする必要はありません。
慣れないうちは背伸びせず、初心者用の教本を中心に練習を進めましょう。
原曲は難しくても、初級、中級、上級に分けてアレンジされた楽譜が販売されていることがあります。
初級は、楽譜が分かりにくい黒鍵(ピアノの黒い鍵盤)を多く使わないなど、よりシンプルな音使いで弾きやすい曲になっています。
弾きたい曲を最初に選び、やさしい難易度にアレンジされている楽譜を使って練習してみましょう。
挑戦してみて難しいと感じる場合、
気に入っている部分だけ弾けるように練習する
右手のメロディだけ弾けたらOK
という感じで、難易度を下げてみると楽しく練習できますよ。
はじめは、両手で同時に違う鍵盤を弾くということがかなり難しく感じます。
右手と左手を別々に練習して、録音した片方を再生しながらもう片方を弾くという練習法だと、曲全体のイメージが掴みやすいです。

両手で同時に弾くのに慣れていない時期は、このやり方に大分助けられました。
しばらく練習してもできない!今はまだ早いのかも…と判断した場合、一旦その曲から離れることも大事です。
もっと簡単に弾けそうな曲に変更して、経験を積んでからまたチャレンジしよう!くらいで全く問題ありません。
私の場合、手が小さく横に大きく広がらないので、どうしても弾けない曲があって諦めたことがあります。
人によって弾きやすい・弾きにくいの感じ方も異なるため、「あの人が簡単に弾けるって言ってたのに自分はどうして…」などと落ち込まなくて全然OKです。
完璧を目指さない
完璧主義に陥りやすいHSPさんは、完璧に弾かないとできたことにならない、中途半端な状態では弾けたと言えないと考えてしまいがちですよね。
独学でピアノを練習する場合、周りにOKを出してくれる人がいないので、常にもっとうまく弾かないと!という思考で心が折れそうになります。
確かに、昨日よりうまく弾けるようになりたいという気持ちは大事です。
しかし、完璧にミスなく弾くことを目標にするのは、コンクールなどに出て競い合う人たちのやることです。
趣味でピアノを弾くのなら、まずはゆっくりでも曲が通しで弾けたら十分合格です!めっちゃすごい!

うまく弾くより楽しく弾くことを優先しましょう!
1つの曲にずっと固執しすぎるよりも、80点くらいで完成にして、どんどん新しい曲に挑戦したほうがモチベーションも保てますし、何より弾いていて楽しいです。
完璧主義傾向が強すぎて、自分で自分にOKが出せないという方は、レッスン等に通って先生に判断してもらいながら進める方が合っていると思います。
(私は主に1回30分~45分程度の個人レッスンに通っていました。)
趣味を義務にしない
ピアノを弾く際に練習目標を決めるのは良いことですが、それがいつの間にか義務にならないように気をつけましょう。
その日のコンディションでピアノがうまく弾けない日もあります。
決めたから1時間しっかりやらなきゃ!と追い込むようなことはしないようにしてくださいね。
私の経験上、無理にやってうまく弾けた試しがありません(笑)
また、「今はこの曲の気持ちじゃないや…」という時は、頑張ってその曲を弾く必要はありません。
趣味でやるならなおさら、その時の自分に合わないものを我慢してやらなくていいんです。
弾いてみて曲が合わないと感じたらいつでも変更していいし、最後まで弾かずに保留にしたっていい。
と落ち込むのではなく、むしろ、
と思って、途中で切り上げることも必要です。

自分のコンディションを感じるバロメーターとしてピアノを使うのも効果的ですよ
無理に人前で弾こうとしない
ピアノを始めると、発表会に出たり、人から何か弾いて欲しいとお願いされたりすることもあるかと思います。
しかし、HSPにとっては人前で弾く行為がかなりのプレッシャーになってしまいます。
私も幼少期から大勢の前で弾く発表会やコンクールが苦手すぎて、本当に本当に嫌でした。
「なんで他人に点数や順位をつけられなきゃいけないの?」
と、ずーっと負担でした。

ストレスで10円ハゲができたこともありました(ここだけの話)
教室に通ってピアノを習っている場合、教室主催の発表会などに出ないか誘われることもありますが、
人前に出ると緊張して体調を崩す
義務感が出てきて楽しく弾けない
のであれば、無理に人前では弾かないことをおすすめします。
あくまでも自分と向き合う・自分を癒す時間として楽しむためのピアノと捉えて、精神的負担にならないよう気をつけましょう。
気持ちを整えるツールとしてピアノを楽しもう
HSPにとって、ピアノは単なる楽器ではなく、自分の心を整えたり、気忙しい日常から離れて落ち着けるような支えとなる存在です。
ご紹介した注意点を押さえた上で、楽しむ気持ちを持って取り組めば、きっとあなたの生活が豊かになると思います。
私自身は、最初は親に買ってもらった小さなキーボードから練習を始めました。
いきなりピアノは買えなかったですが、それでも弾くことが楽しく、好きな曲を弾いている時は時間があっという間に過ぎていったのを覚えています。
今も人前で弾く苦手意識が強く、街中のストリートピアノや楽器店の試弾は気軽にできません。
ですが、人のためではなく、自分だけのために好きな曲を弾きたい!という思いは大人になっても強く持ち続けています。
ピアノは、普段他人の目が気になって周りに合わせてしまう自分が、自分のためだけに続けている数少ない趣味だと思っています。
この記事を読み、ちょっと興味を持った・やってみたいなと感じたのであれば、まずは低価格のキーボードなどから小さく始めてみるのはいかがでしょうか?
みなさんが自分を充実させられる趣味に出会えますように!
コメント
自分もHSPなのですが、ピアノが難しくてなかなか上達しない自分に自己嫌悪になっていたとき、みなもさんのピアノに対する姿勢がとても参考になりました。
あこがれの曲がオンディーヌなのですが、高すぎる目標設定で苦しんでいたんだとわかりました。
完璧主義的な考えの表れなんだと思います。それが弾けなければ意味が無い、とどことなく思っていました。
ピアノを続けるか迷っていたなかで、展望のようなものが見えてきた気がします。
ありがとうございます。
うめめさん、コメントありがとうございます。
オンディーヌ、綺麗でとても素敵な曲ですよね!(でもすごく難しい…!)
私も気づけばしかめっ面で練習してしまうことがありますが、目標に至るまでの道のりも、前向きに捉えられたら最高だなぁ…と意識するようになりました。
うめめさんが無理なくピアノを楽しめる日がくるよう祈っています。
記事が少しでもお役に立ったようで幸いです♪